ソラニン

ソラニン 1 (ヤングサンデーコミックス)

ソラニン 1 (ヤングサンデーコミックス)

映画化されたアレ。

「この話、テーマはLOVEなのか…?」

それが真っ先に抱いた感想。

話の構成自体はよくある話の組み合わせみたいなもので、今まで見た映画と重ね合わせると、PS I love youとサイタマノラッパーとを組み合わせた感じ。


この漫画、「袋小路」を描いたものなんじゃないか。
それが直観的に最初に解したもの。

あらすじとしてはこんな感じ。

主人公である芽衣子は、種田という半分ひものしけた男と同棲していた。どうしても芽衣子は現状に我慢できず、そんな状況の中でも仕事をやめてしまう。

ここから始まる袋小路。迷っても、迷っても、結論は出ない。

種田がずっとやっていたバンド。芽衣子に「音楽やりたいけど傷つきたくないだけでしょ」と言われて、音楽をやる。
一発録りして、レコード会社に送ったりするも、結局は鳴かず飛ばず。そのまま種田が事故で死ぬ。

さらに袋小路の芽衣子。結局種田が遺したギターと曲「ソラニン」で偶然誘われた一夜限りのライブをする。
そこから芽衣子はまたあたらしく歩み出そうか、といった結末。



ずーっと、「普通」にやりすごすことに「まぁいいや」という結論を出す芽衣子は、現状に耐えられず、仕事を辞めても結局は生産性のなさにさいなまれる。そしてあらゆる要因のしがらみの中から結局は抜けられない。感じ続ける閉塞感。

幸せってなんだろうね、とか言いながら、「普通」であることに一定の反骨心を示しつつ、結局は手元に何もないからか、そこから抜けられない。


芽衣子が男友達にこう聞く。「幸せって何?人生って何?」

男友達は、こう返す「それこそ種田と話せよ。」



この本を、テーマはLOVEでとるなら、すべての袋小路をこのファインダで覗くのがおもしろいのかな、って思った。


世の中は、混沌だ。
それこそ本当に何が起こっているかもわからない。
さらにはそれと無関係に、なんとなく自分の人生が進む。
そこに反骨心を示すのも、さらにそのあともまた袋小路。人生とは生き難い。

そんな中で、芽衣子は悩む。関係はこのままでいいのかな。お互い
関係が壊れるのが怖いだけじゃないか。
そして、出した結論として、種田に音楽をけしかける。
傷つきたくないだけでしょ、と。

別れ話を種田は切り出す。
サイテー!!と芽衣子は返す。責任感がまるでないじゃないか、と。
しかしそう言いだした芽衣子のほうがサイテーだと反省する。

そして種田が死ぬ。
それをきっかけに、遺した「ソラニン」を歌うことにする。

最後、引っ越す、という形で前へ進む。


変化はすれど、世界は混沌とし、日常はどこへ向かっているかわからない。
あいも変わらず袋小路で、結局何もわからない。
難しいね、ってことだけがわかる。

でも、お互いをお互いで、ぶつけ合って変化させ合って価値基準を変えていく関係、それ自体がLOVEなのかもしれない。

この本がもしテーマがLOVEなら、ストーリーの半分で種田が死んだとしても、芽衣子の中の変化それ自体がLOVEなのかもしれない。

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マンガの中ではなくて、自分というフィルターに翻ってみる。

周りをみると、自分のことで必死な人が多い。

え、忙しいから…
課題多いし…
これ以上タスク増やせない。
いやごめんめんどい。

こんな連中が、恋愛ごっこをただただ繰り広げている。


お前ら、アホじゃねーの。


結局、自分の欲求の範囲がかぶっただけの話を愛だの恋だのと語り延々と繰り広げ、
それを人間がするべき行為だと解釈し、講釈をたれ、形態は様々だがなぜか人に伝えようとする。

結局のところ、それは自分の範囲のお仕事なのだ。
他人なんて関係ない。
自分が一番かわいいし、自分が一番忙しいし、自分が一番頑張っているし、世界は自分が中心に回っていて、そしていろんなチャンスは他人が、いや、機会として自分に自動的に降ってくる。

そんなモデルの人生を生き続けるのは、申し訳ないが御免こうむる。

学科に進学してから、それは強く、とても根強く自分の中で思う感想。

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テーマはLOVE.
実は他人へのインタラクション。混沌の中の価値基準のきっかけ。


ソラニン」でした。