自分の評価を決めるのは他人

研究者を目指す普通の学生に

「研究者を目指す学生がするべきn個のこと」みたいな記事はちょっとアレだけど,面白かったので転載.


研究者になるつもりがあるのかないのか,という話はともかく,(ちなみにこの問いのたて方にはちょっと疑問がある
アカデミアのtraineeとして大学院にいる超絶凡人として思うことがいくつかある.
実際は卒論の時から大分訓練されてたから,traineeになってからもう半年経ってるっていう認識なんだけど.

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自分の評価を決めるのは他人なんだな,という話.
自分のやってることの面白さと妥当さを説明する義務がある.
で,そんなときに成し遂げるアウトプットは大抵が自分のクローンなんだな.
そのクローンて言うのは,問題設定から解決能力も含めて,という意味.
そんなお話.

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「自分の評価は自分で決めましょう」
僕が学部1年生とか2年生くらいの時によく聞いた言葉.
コレの意味するところはざっくり言えば,
「他人の目は気にせず,自分のやりたいようにやりましょう」ということなんだと思う.
なんだけど,この言葉は,なんていうか,学部の3年生くらいまでにしか,effectiveでない言葉だな,と思う.


これが明確に攻撃対象としている感情は「自己顕示欲」に準ずる欲求で,
「人からすごい/面白いと思われたい」という行動原理で行動している連中なんだと思う.
こう描くとそんなバカな,と思うけど,こういうのはごく普通にいる(自分もその一味だったけど
・休学してなんかしている(から面白いと思われたい
・○○の代表しています(なので,面白いと思われたい
・研究者になりたい自分を認めるために進んだゼミに顔をだす(で,すごいと言われたい
なんて人はゴマンといる.


もちろんそうした行動の中から得るものはあるんだけど,
何かするときに,目的くらいは独立させないとまずいと思う.
自己顕示欲で行動すると,
どこぞの前首相みたいに「原発を止める」とかいうスタンドプレーをいきなりしだす人になったり,
どこぞの元首相みたいに「イランにいって核について抗議する」とかいうもはやノーベル平和賞がほしいだけの人になったりする.
あまりにも好例過ぎて使ってしまったが,僕は政治主張がしたいのではなく,
主張したいことは自己顕示欲で行動することの,他人に対する効果の薄さである.


で,そこで出てくるのが,次のフェーズ,「自分を評価するのはやっぱり他人」
じゃあそんな自己顕示欲も捨てて自分が面白いと思うことをやろう,と思ったときに,
それのインパクトが他人に及ばないとただのオタクと化す.
それはきちんと他人につたえて,他人から評価されるべきだと思う.
アカデミアで言えば論文を出して発表をして,後でどれくらい引用されるかetcで評価されるんだろうな.


じゃあ,なんかしようと思ったときに,出てくるものは
「一流の研究者は一流の人間」「つまらん研究をする人はつまらん人間」という言葉だと思う.
自分がやることは,大抵は自分のクローンなんだな,と思っている.
自分が「これは問題だ」と思うことにしかカタがつけられない.
今まで手を動かしてきた帰結として,問題と感じることにしかカタをつけようという気にもならないのかな,と思う.
実際僕がやってきたことをこの間並べてみたら,大体が自分のクローン,
つまり,僕が問題だと思ったことを解決してきただけだなと思った.
そんなこんなで,「何を問題か」と思うことは,自分が何をしてきたか,というかもっと言うと
自分がどう生きてきたか,を大分反映している.
だから,一流の問題を解く人は一流なんだろうと思う.

ちなみに問題と感じる者の中でも特に解くべき問題は「世の中の役に立つ」「本当に何が大切かを考える」のような気がする.


で,問題を設定したときに出てくるのが「結果がすべて」で.
解かないと意味がない.解けないと意味がない.解いてインパクトがないと意味がない.
考えてることだけが面白いやつになっても意味がない.
考えることは誰にでもできるから,そこだけ鍛えるのはまぁいいのだけど,
結局何もできないと,価値がないまま終わってしまう.
よく「○○したいです!」とか言う奴いるけど,
「それをこなす能力があるんですか」という質問はなかなか飛んでこない,けど大事な部分だと思う.
問題を解く腕力を身につけたほうがいい,そしてきちんと結果をついて来させる腕力をつけたほうがいいと思っている.


自己顕示欲から早く独立して,
そのあとは人生の各フェーズで,
「自分は何を問題だと思っていて,自分はそれを解決できるスキルがどれくらいあるのか」というのが,重要な気がする.
足並みをそろえながら遠くにいかないと不幸なことになるのかなぁといった感じ.


こうやってみてみると,一流の人間が一流のことをしているんだなぁと思う.
よくうちの大学には二物を与えられたような人がいるけど,
それも「一流の人間が一流のことをしている」のかなぁと思って納得している.
うちの大学で極めて優秀な人をちょいちょい見かけたけど,大体がこんな感じだったなぁなんて思ってる.