屋根裏の明かり


屋根裏の明かり

屋根裏の明かり

屋根裏の明かり/Shel Silverstein


これは170ページくらいある本。
1ページ、または見開きくらいの絵に詩が添えてある。
人の心をえぐってくるSilversteinのもう一つの本領を遺憾なく発揮する。
何個か引用しちゃおう。


楽経


ピアノ弾きたかった
けど鍵盤に届かなかった
やっと手が届いた
えど足が床につかなかった
そしてついに鍵盤にも
床にも届いたとき、
もうピアノ 弾きたくなくなっていた


神様のハンドル


神様ちょっぴり微笑んで
「わしの代わりにどうだいちょっと
世界の舵を取らないかい?」
「いいよ ボク やってみる
どこに坐るの?
いくらくれる?
お昼はいつなの?
いつやめられる?」
「いやはや操縦は任せられん
まだ心構えがなっとらん」


クマ公


ぼくんちの冷蔵庫
白クマが住んでるんだ
仲が寒いんで気に言ってるんだ
肉の上に座り込んで
魚に花崎つっこんで
毛むくじゃらの大きな手は
バターの中
うどんをすすったり
ごはんを食べたり
ソーダを飲んだり
氷をなめたり
僕が扉をあけると
唸り声出すんだ
奴が中にいると思うと
ぼくは怖いんだ
冷蔵庫の中の
白熊くん


暗記魔のアン


アンは辞書を暗記した
でもなぜか仕事はみつからない
それに辞書を暗記した娘と
結婚したいやつも見つからない


この橋


きみのあこがれの遠い国々
この橋は途中までしか届かない
ジプシーのテントやアラブの市場
一角獣のあそぶ月夜の森を
ぼくと一緒にたどってみよう
不思議な世界の曲がり道
だけど橋は途中までしか届かない
最後は自分の足で行け


どれもこれもえぐかったり、するどかったりしてなるほどなーって思わされる。


楽経歴はあーこれあるなーって思わされる。
コレ終わったらアレしてーって考えていたら、
実はもうしたくなくなっている。
結局のところ、したいときにできる状態じゃないと素晴らしいものに手が届かない。
そんなメッセージな気がする。
いやくみ取りすぎかな。


神様のハンドルはこの中で一番好き。
「まだ心構えがなっとらん」
あれこれ聞いているうちはだめで、自分の頭できちんと考えないといけない。
それをこんな寓話にしたてるから本当にすごい。


クマ公は、
星の王子様的のボアの絵的なスピリットを感じた。
ちょっとした図形が描いてあって、これがボアだよこの中にボアがいるんだよ!
といっても大人は理解してくれない。
何かものがあって、その中に何がいるんだろう、っていう想像をすることは少ないように思う。
子供だけの特権。
もう押入れの中に何かがいるかもしれない、なんて恐怖に襲われることもない。
押入れの中にはひょっとしたらゴキブリがいるかもしれないけど、
得体のしれないものはいないと考えてしまう。
そういう大人の心を鋭く突いてくる一節。


暗記魔のアンは、
辞書暗記しても仕事が見つからない、という一節がすごく心に響く。
これは今ゼミをしてくれている社会人の人もよく言うことだけど、
暗記しただけでは使えない、だと。
これで結婚までできない、というSilversteinのえぐり方がすごい。


この橋は、
えぐいなーって思う笑。
いろんなしたてはするけど、最後は自分の足で。
結局のところ、自分が苦労しないと何も手に入らない。
そういうこと。
これ、最後の詩なんだけど
最後に持ってくるからには、そういうメッセージがあるのかな、って思う。
この絵本読んで、何を思ってもいい。
でも、そこから一歩自分が前に進め、さもなくばどこにも行けない、と。
一歩進まないとただの暗記魔だぞ、ということかもしれない。


この本ほしいな。
買えるくらいの余裕がでてきたら、もう読みたくなくなっていたらいやだな笑。